英雄の武勇伝
 
 
歴史上の偉人は、武勇伝が語られることが多い。

武芸で名を馳せた人物の場合、若き頃の武勇伝として、なかなかにぶっ飛んだ逸話を盛って、人物に箔を付けるパターンがある。

例えば、
・熊や虎に遭遇して襲われるが、逆に倒す。
・山賊のアジトに一人で乗り込んで暴れ、山賊どもを手下にしてしまう。
・道場に乗り込み、百人組み手で勝つ。

どこかで見たことがあるような話ばかりですが、基本は多勢に無勢など、ふつうは手に負えないシチュエーションで勝つです。
昔の人は現代人よりも短命なので、そのぶん世に出る年齢も若いことが多いのですが、それで「若き日の武勇伝」と言われると、子供の頃にこれをやったの?となり、けっこう荒い設定に見えてきます。


一方、知恵を武器にのし上がった偉人には、ひねりの効いた完成度の高い武勇伝が多いように感じられます。
発想の奇抜さを際立たせることで、その人物の知力に箔を付けているのだろう。

代表的なのが豊臣秀吉で、逸話の数も多いのです。
信長の草履を懐で温めることで気に入られた話、他人が何年かけても終わらなかった石垣工事を秀吉が半年で終える話、墨俣の一夜城の話など、序盤から武勇伝に事欠きません。
名も無き針売りから天下人まで、知恵を武器に登りつめる人物の説得力としては、一つや二つじゃ足りないとばかりに、逸話の連続です。

ときには天候まであやつってしまうなど、たまに賢すぎてやり過ぎる人もいますが、智者のエピソードにはなるほどと思わせるものが多いのです。


それらの武勇伝が事実であれば凄いことですが、もしも後世の創作であるならば、それら逸話を考えた人は賢いなと、創作者たちに感心した次第です。

 

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